隣の芝生は青く見えるだけなのか
ずっと昔から思っていた。
なんで自分はこんなに何にも出来ないのだろうか、と。
でもまあ多分努力が足りないからだろうな、と。
勉強も運動も、本当に思う通りに出来ない。
授業についていけない事はなかったけれど、成績優秀なわけではなかった。
運動に関しては、もう全然。逆上がりも一輪車も、練習しても結局出来なかった。
歌も下手。絵も描けない。
性格もなかなか難しい。
顔もスタイルもいまいち。
え、じゃあ、つまり私って。
努力が出来ない、意識も低い。
親もきっとがっかりしてた。
こんなはずでは。
いつも言われていた、「〇〇ちゃんは出来るのに」。
ろくに出来ない私は、嫌い? いらない?
通信簿もなくなった。
母もいない。
父とも離れて暮らしている。
私を直接否定する存在は、随分減ったはずなのに。
どうしてまだ、私は私を許せないのだろう。認められないのだろう。
そんな事も関係しているのだろうか。
太る事が怖くて、仕方がない。
身長160センチ、体重48キロ。高校時代から変わらない。細いと言われても、足が太くて短いのが気に入らない。頑張っても下半身って痩せない。拒食症にギリギリならないのは、数値が行動を止めているからだ。50キロを超えたら、間違いなく本気を出して痩せたい。
ピザ屋のチラシにうっとりし、アイスのコーナーで立ち止まるだけ。家での飲み物は原則白湯。水筒の中身も水。
そういえば、日焼けも怖い。
色白だと言われるけれど、自分で何回鏡を見ても白く見えない。一年中、日焼け止めを欠かさず塗り、夏でも長袖だ。シミもそばかすも怖い。
体臭や口臭も怖い。
シャワーを浴びない日はない。歯磨きは必ず毎回、2度ずつ磨く。
何のために私、こんな生活を何年も続けているんだろう。
小学生の頃、母に言われた「あんたの事、気持ち悪いって言ってるよ」の言葉。
あれは具体的に、誰が言っていた事なんだろう。クラスの誰かか、それとも母か。
そうか、私は気持ち悪いのだ。
気持ち悪い人間が、まっとうに生きていけるはずがない。
多分、その辺りで諦めた、平凡だけど幸せな生き方を。
好きな男の子がいた。けど、こんな気持ちの悪い奴に好かれたら迷惑だ。
行きたい学校があった。けど、頑張っても多分受からない。
やってみたい仕事があった。けど、上手く出来ないだろう。
色んな事を諦めて、我慢して、ここまで来た。
今更、好きにしていいよ、自分の事を認めてあげよう、とか。
どうしていいのか分からない。